中国人はどのように中国語の発音とピンインを学ぶの?
実は小学校では漢字より先に「発音」を勉強します

「中国人は最初から中国語を話せるから、発音やピンインの勉強なんてしたことがないのでは?」
中国語を勉強している生徒さんから、このような質問をいただくことがよくあります。
確かに、中国人の子どもたちは生まれたときから中国語を聞いて育つため、家族との日常会話は自然にできるようになります。しかし、「話せること」と「文字を読んだり書いたりすること」は全く別です。
実は、中国人も小学校に入学すると、私たち外国人と同じように一から発音とピンイン(拼音)を学びます。
「中国人は最初から漢字を読める」というイメージを持っている方も多いかもしれませんが、それは大きな誤解です。
今回は、中国の小学校ではどのように発音とピンインを教えているのか、日本の学習方法との違いも交えながらご紹介します。
ピンインとは何?
ピンインとは、中国語の発音をアルファベットで表した表記方法です。
例えば、
- 你 → nǐ
- 好 → hǎo
- 中国 → Zhōngguó
のように、漢字の読み方を表します。
日本語でいえば「ふりがな」のような存在ですが、実際にはそれ以上に重要な役割があります。
中国では、新しい漢字を読むとき、辞書を引くとき、スマートフォンで文字を入力するときなど、日常生活のさまざまな場面でピンインが使われています。
つまり、ピンインは初心者だけが使うものではなく、中国人にとっても欠かせない道具なのです。
中国人も最初は漢字が読めません
幼い子どもは、お父さんやお母さんと会話はできますが、本や新聞は読めません。
これは、日本の子どもが「こんにちは」「ありがとう」と話せても、入学前には漢字を書けないのと同じです。
そのため、中国の小学校では、国語の授業が始まると最初に学ぶのは漢字ではありません。
まずは、
- a・o・e
- i・u・ü
- b・p・m・f
- d・t・n・l
といったピンインの基本から勉強します。
つまり、中国人も最初は「文字」ではなく「音」を学ぶのです。
中国の小学校ではどのように発音を教えるの?
中国の小学校1年生の国語の教科書を開くと、多くの人が驚きます。
最初の数ページには、ほとんど漢字がありません。
そこに並んでいるのは、
a o e
i u ü
b p m f
など、ピンインばかりです。
先生はまず正しい発音を聞かせ、子どもたちは先生の後に続いて何度も復唱します。
「もっと口を丸くして。」
「舌は上の歯の裏につけて。」
「息を強く出して。」
このように、口の形や舌の位置まで丁寧に教えます。
私自身も中国の小学校に通っていましたが、入学して最初に勉強したのは漢字ではなく、この「a・o・e」でした。毎朝クラス全員で先生の後について、大きな声で何度も発音練習をしたことを今でもよく覚えています。
声調も何度も繰り返し練習します

中国語には四声(声調)があり、同じ音でも声調が違うだけで意味が変わります。
例えば、
- mā(お母さん)
- má(麻)
- mǎ(馬)
- mà(叱る)
は、すべて「ma」という音ですが、意味はまったく異なります。
そのため、中国の小学校では、
先生「mā——」
生徒「mā——」
先生「má——」
生徒「má——」
というように、何度も繰り返し練習します。
まるで歌を歌うように、リズムに合わせて声調を覚えていくのです。
最初はピンインだけで文章を読みます
発音を覚えたからといって、すぐに難しい漢字を読むわけではありません。
最初は、
爸爸(お父さん)
妈妈(お母さん)
爷爷(おじいさん)
などの簡単な言葉から始め、ピンインを頼りに文章を読めるよう練習します。
教科書にも漢字の上にピンインが付いており、子どもたちは「文字」ではなく「音」を意識しながら読んでいきます。
その後、少しずつピンインが減り、漢字だけでも読めるようになっていきます。
漢字を書く練習はその後です
「中国は漢字の国だから、最初から漢字を書く練習をする」と思われがちですが、実際は違います。
学習の順番は、
- 発音を聞く
- ピンインを読む
- ピンインを書く
- 簡単な漢字を読む
- 漢字を書く
- 短い文章を書く
という流れです。
しっかりと音を身につけてから文字を学ぶため、「音」と「漢字」が自然につながっていきます。
中国人は大人になってもピンインを使っています

「ピンインは子どもだけが使うもの」と思われる方も多いのですが、それも誤解です。
中国人は大人になってからも毎日ピンインを使っています。
例えば、
スマートフォンで「北京」と入力するときは、
beijing
と入力します。
「上海」なら
shanghai
「微信」なら
weixin
です。
また、パソコンで文書を作成するときや、インターネット検索、辞書を引くときにもピンインを使います。
つまり、ピンインは中国人の日常生活に欠かせない存在なのです。
中国人でも読めない漢字はあります
漢字を母語とする中国人でも、すべての漢字を読めるわけではありません。
医学用語や法律用語、古典文学などには難しい漢字がたくさんあります。
そのような漢字に出会ったときは、辞書やスマートフォンで読み方を調べます。
日本人が難しい漢字を辞書で調べるのと同じです。
中国人でも発音を勉強する理由
中国はとても広い国です。
北京、上海、四川、広東、東北など、地域によって話し方や発音が異なります。
そのため、小学校では全国共通の標準中国語である「普通話(プートンファ)」を学びます。
つまり、中国人にとっても学校は「正しい発音」を身につける大切な場所なのです。
日本人が中国語を難しく感じる理由
日本では、多くの人が最初に単語帳や漢字を覚えようとします。
しかし、中国では、
聞く → 話す → 読む → 書く
という順番で学びます。
一方、日本では、
漢字を見る → 意味を覚える → 発音を覚える
という学習になりがちです。
そのため、「漢字は読めるけれど、聞き取れない」「意味は分かるけれど話せない」という悩みにつながることがあります。
中国人と同じ順番で学ぶことが上達への近道
中国語は発音がとても重要な言語です。
だからこそ、中国人の子どもたちも、小学校では時間をかけて発音とピンインを学びます。
これは外国人が中国語を学ぶときにも同じです。
最初に正しい発音を身につけておけば、その後の単語や文法、リスニング、会話の上達スピードは大きく変わります。
当教室でも発音を最も大切にしています
立橋中国語教室では、中国の小学校の教育方法を参考にしながら、初心者の方にはまず発音とピンインを丁寧に指導しています。
「早く会話をしたい」「たくさん単語を覚えたい」という気持ちはよく分かります。しかし、土台となる発音が身についていると、その後の学習効率は大きく変わります。
中国人も最初から中国語を読めたわけではありません。小学校で私たち外国人と同じように、一歩ずつ発音とピンインを学び、そこから文字や文章へと進んでいきます。
もし中国語を始めたばかりで発音に自信がなくても、心配する必要はありません。中国の子どもたちと同じ順番で、基礎から一歩ずつ学んでいけば、必ず「聞ける・話せる中国語」に近づいていくはずです。